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【2027年方針】保険料滞納のある外国人は在留資格の変更・更新を原則認めない見込み

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【2027年方針】保険料滞納のある外国人は在留資格の変更・更新を原則認めない見込み
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 政府は、国民健康保険などの保険料や医療費の未払いがある外国人について、2027年度以降、在留資格の変更・更新において厳格に審査し、原則認めない方向性を示しています。

 本稿では、背景、影響、対象範囲、外国人本人と企業が今から取り得る具体的な対策をわかりやすく整理します。※最終的な運用は今後の法令・ガイドラインの確定に従います。

1.制度強化の背景

 本制度は、保険料の未納・未加入が一部地域で慢性化し、自治体財政や医療提供体制へ負担が生じている現状を踏まえ、 在留審査に「社会保険の適正加入・納付状況」をより明確に反映させることを目的として検討・導入されるものです。

 これにより、在留資格の更新・変更の可否判断において、保険料の滞納・未加入情報がこれまで以上に重視される見込みです。

1.社会保険の未納・未加入問題

 外国人住民の増加と就労形態の多様化に伴い、国民健康保険(国保)や厚生年金等の適正加入・納付が実務上の論点となっています。

 転居・転職の頻度が高い、制度理解や日本語での案内が難しい、短期就労や非正規雇用が多い――

 こうした事情が重なると、通知未達や手続きの失念・遅延が生じやすく、結果として滞納や未加入が発生します。

  • よくある原因:保険切替えの失念、退職・転居時の手続き漏れ、納付方法の不理解、経済的困難 等
  • 生じる影響:自治体の医療費立替・未収増、被保険者本人の受診制限や給付制限、在留審査での消極評価
  • 企業側の課題:入社・退社時の適正な社会保険手続き、国保↔社保の切替え周知、外国人従業員への多言語案内

※「少額・短期の遅延」そのものが直ちに不許可を意味するわけではありませんが、長期・反復・放置は 重大なマイナス評価となり得ます。早期の完納・分納相談・事情説明の整備が重要です。


2.在留審査とのデータ連携

 これまで自治体(保険者)が保有する納付・加入情報は、在留審査に十分反映されにくい面がありました。

 今後は、自治体の保険情報と出入国在留管理庁の審査情報の連携を段階的に強化し、 更新・変更審査で参照可能な体制の整備が見込まれています。

  • 連携強化の狙い:審査の実態把握の精度向上、恣意性の排除、審査の公平性・透明性の向上
  • 評価ポイント(想定):滞納の有無・金額・期間、是正状況(完納・分納・猶予)、再発防止策の有無
  • 実務への波及:更新・変更申請時に納付(完納)証明書事情説明書の提出が一層重要に

 企業・本人ともに、在留期限のかなり前から加入状況と納付状況を点検し、不備があれば速やかに是正して証跡(証明書・相談記録)を整えることが、今後の審査対応の基本となります。

2.対象となる範囲と時期

 政府は2026年度に自治体・入管システムの連携を整備し、2027年度(6月頃)から実際の審査運用に反映する見込みを示しています。


1.対象者

 中長期在留者で、在留資格の変更または更新を行う外国人。就労系(例:技術・人文知識・国際業務、特定技能、経営・管理 等)を含む広い範囲が想定されています。

 特に、雇用契約に基づく活動を行う者や、独立して事業を行う「経営・管理」ビザ保持者など、社会保険加入義務が発生する立場の外国人全般が対象となります。


2.時期

 2027年度から審査反映が開始される見込み。詳細は今後の告示・通達・システム運用で確定。2026年度中に自治体と入管システムの情報連携を試行し、翌年度から本格導入する計画です。

 2027年春以降の更新申請から順次反映される可能性が高く、実務上の影響は早期に現れると考えられます。


3.審査観点(想定)

 滞納の有無・金額・期間、意図性、是正状況(完納・分納・猶予)、再発防止策の有無 等。

 形式的に滞納があるか否かだけでなく、「改善努力をしているか」「滞納を放置していないか」が評価されます。

 完納証明書の提出、分納計画書、自治体相談記録などが審査資料として求められる場合があります。

 この方針により、在留資格審査は「職務内容や報酬基準」に加えて、社会的義務(保険・税金の納付状況)を含めた総合評価へと移行していくことになります。外国人本人はもちろん、受入れ企業・雇用主も「社会保険の加入・納付を管理する責任」を意識する必要があります。

3.想定される影響と対策

 現在すでに永住許可申請(永住ビザ)では、税金・社会保険料・年金保険料の支払い遅延や未納がある場合には不許可となる厳格な審査が行われています。

 今回の方針はその延長線上に位置づけられるもので、今後は在留資格の更新・変更においても同様の水準での適正納付確認が実施される見通しです。

 これにより、永住申請だけでなく、就労・経営などすべての在留活動において、社会保険・税務の遵守がより一層重視されることになります。


1.外国人本人への影響

 外国人本人にとって、保険料滞納が直接的に在留資格の不許可要因となる可能性があります。
特に長期的または繰り返しの滞納がある場合、入管審査で「社会的責任を果たしていない」と判断されるリスクが高まります。

 完納していても、過去の滞納履歴が審査記録に残ることで、今後の申請にも影響する可能性があります。

  • 更新・変更の不許可リスク上昇(長期・反復滞納や放置が特に不利)。
  • 過去滞納の消極的評価(完納後も継続納付実績の提示が重要)。
  • 将来的な永住・帰化審査への波及可能性。

 また、外国人本人が滞納を放置している場合、自治体や医療機関からの請求・差押えリスクも高まります。 一方で、自治体窓口で分納・猶予・免除制度を利用したり、滞納理由を明確に説明することで、 審査上のマイナス評価を軽減できる場合もあります。

 重要なのは「滞納をしないこと」だけでなく、「滞納を是正しようとする姿勢を示すこと」です。 審査官はその行動履歴と証拠(納付証明・相談記録)をもとに判断します。


2.外国人本人の対策

 外国人本人は、まず自分が加入すべき保険(国民健康保険または勤務先の社会保険)を正確に把握し、 納付状況を定期的に確認することが重要です。滞納がある場合でも、早めに自治体へ相談し、 分納・猶予・免除などの手続きを取れば、誠実な対応として審査上の印象を改善できます。

  • 加入すべき保険の確認(会社の社会保険 or 国民健康保険)。
  • 滞納があれば早急に完納、困難な場合は自治体で分納・猶予の相談。
  • 更新・変更申請では納付(完納)証明書事情説明書再発防止策の添付を検討。

 これらの対応は、単なる形式的な書類提出ではなく、「社会的責任を果たしている」という信頼の証となります。 申請時には、自治体発行の「国民健康保険料納付証明書」や「社会保険加入証明書」を添付することで、審査の透明性が高まります。


3.企業・受入れ機関への影響

 外国人社員の在留資格更新が不許可となれば、企業にとっても人員計画の見直し雇用契約の中断といったリスクが発生します。さらに、今後は入管が企業側にも「社会保険加入・納付状況の管理体制」を求める傾向が強まると見られます。

  • 在留更新の不許可による人員計画の崩れ・採用や配置の再考。
  • 社内管理のコンプライアンス強化(加入・納付状況の確認体制、説明責任)。
  • 申請スケジュール管理と書類整備の負荷増

 特に、複数の外国人を雇用する企業では、社内で在留期限や社会保険加入状況を一元管理する仕組みが不可欠となります。

 申請直前に滞納が判明すると、更新時期の遅延や再申請が必要になることもあり、業務の停滞・コスト増加につながります。

 企業側に求められるのは「本人任せにしない管理」です。入社時・更新前に社会保険加入証や納付証明の提出を求め、問題があれば早めに相談・指導する体制を構築することがリスク回避の第一歩となります。

行政書士や社会保険労務士と連携し、在留更新と社会保険管理を同時に確認できる体制を整えることで、不許可リスクを大幅に減らすことが可能です。


4.企業・受入れ機関の対策

 企業や人事担当者は、在留資格の更新が「外国人本人だけの問題」ではなく、企業の雇用継続・人員管理に直結するリスク要因であることを理解する必要があります。

 特に、2027年度以降は「保険料の未納」や「社会保険未加入」が審査に反映されるため、企業自身の管理体制が問われる時代になります。  以下の3点が、今後の人事実務で最も重要な確認ポイントです。

① 採用時(中途入社)における保険加入・納付の連続性チェック

 外国人社員を中途採用する際は、前職からの社会保険加入・納付の連続性を確認することが不可欠です。

 退職後に国民健康保険への切替えを忘れていたり、前職の社会保険喪失から新職場での加入までに空白期間が生じている場合、入管審査では「未加入・未納」とみなされる可能性があります。

 採用時には以下の書類を確認・保存し、企業として「加入状況を適正に確認した」証跡を残すことが重要です。

  • 前職の社会保険資格喪失証明書または国民健康保険証のコピー
  • 退職から入社までの期間に国民健康保険へ加入していた記録
  • 未加入期間がある場合は、事情説明書(例:一時帰国・就職活動期間など)

② 企業自身の社会保険・税金の適正納付

 入管は今後、外国人を受け入れる企業の「適正性」も重視すると考えられます。  企業側に社会保険料・源泉所得税・法人税の滞納がある場合、雇用主として信頼性を欠くと判断されるリスクがあります。

 また、社会保険加入義務があるのに未加入、または給与天引きした保険料を企業が納付していない場合も、法令違反としてマイナス評価になり得ます。

 これらを防ぐために、年1回程度、社労士・税理士と連携して以下を確認しておくことが推奨されます。

  • 社会保険・源泉税・法人税などの納付状況の棚卸し
  • 給与台帳・雇用契約書・納税証明書などの整合性チェック
  • 社会保険加入義務(常時5人以上・業種要件)の再確認

③ 在留更新・社内管理体制の整備

 上記の対応に加え、企業内での在留管理・社会保険管理を一体化し、更新リスクを早期に把握できる体制を整備することが必要です。

  • 在留期限と申請タイミングの社内共有、対象社員のリスト化。
  • 雇用契約締結時に「保険加入・納付義務」を明示し、入社時に加入状況を確認。
  • 更新前チェック:納付証明の提出依頼/不足時の相談窓口案内(自治体・社労士・行政書士)。
  • 申請書面テンプレート(事情説明・社内支援の記録・就労実態資料)を整備。

 特に、特定技能・技術人文知識国際業務・経営管理ビザを保有する社員がいる場合は、更新直前に滞納が判明すると「不許可」につながるおそれがあります。  更新1~2か月前に納付状況を確認するルールを社内で徹底し、行政書士や社会保険労務士と連携したチェック体制を整えることで、リスクを大幅に軽減できます。

 企業自身のコンプライアンス体制と外国人本人の誠実な対応が両立して初めて、在留資格の安定的な更新が可能になります。

4.法改正Q&A

この方針はいつから適用されますか?

 現時点では、2027年度(令和9年度)から在留資格の変更・更新審査に反映される方向で準備が進められています。

 ただし、正式な適用時期や対象範囲、例外規定(病気・経済的困難など)は、今後公表される法務省・厚生労働省の告示や通達で確定します。

 そのため、2026年度以降に更新や変更を予定している方は、早めに納付証明の取得や相談を行い、準備を進めておくことをおすすめします。

少額・短期の滞納でも不許可になりますか?

 少額や一時的な滞納で直ちに不許可となるわけではありません。 しかし、長期間にわたる滞納や、意図的に支払っていないと判断されるケース、 あるいは行政からの督促・案内を無視して放置している場合は、厳しく評価される可能性があります。

 審査で重視されるのは「滞納があるか」よりも、「滞納に対してどのような対応を取っているか」です。 たとえ一時的に支払えなかった場合でも、自治体に相談して分納や猶予を申し出た記録や、 支払い計画に基づく実績があれば、誠実な対応として評価される傾向にあります。 したがって、滞納を放置せず、できるだけ早く自治体窓口で相談することが最善の対策です。

更新直前に完納すれば大丈夫ですか?

 滞納を完納することは非常に重要であり、入管審査上も大きな改善要素となります。 しかし、過去の滞納が長期・反復していた場合には、完納後でも「消極的評価」として記録されることがあります。

 そのため、完納後に一定期間継続的に納付を続けている実績を示すことが大切です。 更新申請の際には、以下の書類を添付することで、より説得力を高められます。

  • 自治体発行の国民健康保険料納付証明書または社会保険加入証明書
  • 滞納に至った理由や再発防止策を説明する事情説明書
  • 分納・猶予を利用していた場合の相談記録や支払い計画書

 入管では、滞納の事実そのものよりも、申請者が「誠実に対応し、再発を防ぐ意思を持っているか」を重視する傾向があります。

会社の健康保険加入なら影響はありませんか?

 原則として、会社の社会保険に適正に加入し、保険料が給与天引きで納付されている場合は、 国民健康保険のような滞納リスクはほとんどありません。

 ただし、勤務先が社会保険加入義務を怠っている場合や、転職・退職後に国民健康保険への切り替えを行わずに放置している場合は、 「未加入・未納」とみなされるおそれがあります。 特に、個人事業主・経営管理ビザ保持者・特定技能者など、自己管理が必要な立場の方は注意が必要です。

 会社員の方でも、退職時には必ず社会保険の喪失証明書を受け取り、国民健康保険への加入手続きを忘れないようにしましょう。

企業はどの程度まで社員の納付状況を把握すべきですか?

 企業は、社員個人の納税・納付情報をすべて把握する必要はありませんが、 在留資格更新に影響を及ぼすリスクを未然に防ぐ範囲での確認が望まれます。

 実務的には、以下のような対応が推奨されます。

  • 在留資格更新前に、社員へ納付証明書の提出を依頼する。
  • 滞納や未加入が判明した場合には、自治体・社労士・行政書士への相談を促す。
  • 入社時・契約更新時に「保険加入・納付義務」の説明を明記し、理解を確認する。

 これらの対応は、単に社内コンプライアンスの観点からだけでなく、 外国人社員が安心して就労を継続できる環境を整えるためにも重要です。 企業が積極的にサポートしている姿勢を見せることは、審査官にとっても信頼できる受入れ体制として好印象を与えます。

5.法改正のまとめ

 政府は2027年度から、保険料滞納のある外国人に対して在留資格の変更・更新を原則認めない方針を示しています。

 現在すでに永住許可申請(永住ビザ)では、税金・社会保険料・年金保険料の支払い遅延や未納がある場合には不許可となる厳格な審査が行われています。

 今回の方針はその延長線上に位置づけられるもので、今後は在留資格の更新・変更においても同様の水準での適正納付確認が実施される見通しです。

 これにより、永住申請だけでなく、就労・経営などすべての在留活動において、社会保険・税務の遵守がより一層重視されることになります。

 外国人本人は、加入すべき保険を確認し、滞納がある場合は早急に自治体へ相談・完納することが重要です。 申請時には納付証明書事情説明書を添付し、誠実な対応を示すことで不許可リスクを軽減できます。

 企業や受入れ機関は、更新前に社員の加入・納付状況を確認し、在留管理と社会保険管理を一体化した体制を整えることが求められます。 専門家(行政書士・社労士)と連携し、早めに準備を進めることが最も効果的です。

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出典・参考(一次情報)

  • 法務省 出入国在留管理庁「外国人の社会保険加入に関する取組方針(2027年度施行予定)」
  • 厚生労働省「外国人の国民健康保険加入状況に関する調査報告(2024年度)」
  • 毎日新聞(2025年6月13日)「政府、保険料滞納の外国人に在留資格更新を認めない方向」
  • 文化放送(2025年6月)「入管と自治体、保険情報のデータ連携を2027年度から」

※本ページは上記公表・報道情報をもとにACROSEED Immigration Lawyer’s Officeが実務的観点から整理・解説したものです。

Q&A監修者
Q&A監修者

行政書士法人ACROSEED
代表社員 佐野 誠
日本行政書士会連合会(登録番号第01080685号)
東京都行政書士会(会員番号第4568号)

1986年 創業
親子2代で外国人法務に特化し39年目を迎えます。
2001年 行政書士登録
国際行政書士として23年のキャリアを誇ります。
2023年 東京都行政書士会国際部員に就任
東京都行政書士会に所属する行政書士の育成と発展に貢献しています。


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