外国人中途採用の手続き
1.外国人を中途採用する際に確認すること
1.在留資格
外国人社員を雇用する際には、在留資格と在留期限を必ず確認しなければなりません。これにより採用後に必要となる在留資格手続きが異なるため、可能であればパスポートなどで正確な情報を把握する必要があります。
ちなみに、日本に滞在する外国人が日常的に利用している在留カードは、本人が自主的に情報を更新する制度であるため、人によっては情報が古いままのこともあります。そのため、在留カードを確認しただけでは完全とは言えないのですが、個人のパスポートをチェックすることはプライバシーの問題も生じかねるため、慎重な対応が要求されます。
2.必要な在留手続き
外国人留学生などを雇用する場合には、原則として在留資格変更の申請が必要となります。
また、転職者の場合にはすで就労可能な在留資格を所持しているため、すぐに在留手続きが必要となることはあまりありませんが、在留期限が迫っていれば在留期間更新の申請をする必要があります。また、更新までに相当の期間があったとしても、雇用企業の状況に合わせて就労資格証明書を取得した方がよいこともあります。
ただし、これらの判断は個別の状況により異なるため、不安がある場合には専門家に相談されることをお勧めします。
3.在留資格への該当性
「日本人の配偶者等」など一部の就労に制限がない在留資格を所持する外国人を除き、外国人社員を雇用する場合には原則として在留資格に該当する職務内容でなければ、就労可能な在留資格は許可されません。これが許可されなければ不法就労となるため、雇用をあきらめなければなりません。
そのため、雇用時には希望する在留資格と職務内容が合致するかどうかを予め確認する必要があります。
1.既に就労可能な在留資格を所持しているケース
1. 在留資格の確認
既に他社で就労可能な在留資格を取得した人材を中途採用した場合であっても、その在留資格と期限を確認しなければなりません。前職で自社と同じ職務を担当していた場合には、原則として次回の在留期間更新時まで特に手続きは必要ありません。ただし、数年後の更新申請が万が一にも不許可となった場合にはリスクが大きく、慎重な判断が要求されます。
2.必要な在留手続き
既に就労可能な在留資格を取得している場合では、在留資格を変更するケースはほとんど見られません。大半は同じ在留資格での更新手続きとなりますが、次回の更新申請の際はあくまでも新しい雇用先での職務内容や雇用形態での申請となるため、名目は在留期間の更新となりますが、実質的は新規に在留資格を取得するケースとほとんど変わりがありません。
3.職務内容の明確化
在留資格の該当性を考慮する場合、自社の職務内容が明確でないと正確な判断をすることが難しくなります。そのため、採用前には職務内容を明らかにし、就労可能な在留資格への該当性を考慮することになります。前職と同じ貿易担当者であっても企業により職務内容が大きく変わることもあるため、あくまでも自社内での職務内容などから在留期間の更新が許可されるかどうかを判断しなければなりません。
2.在留期間の更新が不許可になったら
1.研修等のコスト負担
中途採用で在留期間の更新が不許可となった場合、多くのケースではその外国人社員を雇用し続けることはできなくなります。その場合には採用や人材教育のためのコストが無駄となってしまいます。さらに、入社から1~2年が経過してようやく職務にも慣れてきたころに退職することは、外国人社員にとっても大きな負担となります。
2.業務の引き継ぎ
在留期間の更新が不許可となってしまったケースでは、採用から現在に至るまで不法就労に該当していたという可能性も考えられます。そのため、現在と同様の雇用関係を継続させることはできず、多くのケースでは後任者が決定する前に速やかに退職させざるを得ない状況となります。また、外国人社員が担当していた業務は、言葉の問題などで他の社員がすぐに引き継げる職務ではないことが多く、結果として十分な引継ぎができなくなることがあります。
3.解雇問題
仮に就労可能な在留資格の更新申請が不許可となった場合でも雇用契約は有効であるため、解雇をめぐり問題が生じる可能性があります。多くのケースでは外国人社員も「就労ビザが取れなければ仕方がない」と理解を示しますが、雇用企業のケアが十分でなかった場合などにはトラブルとなる事例も見られます。不要な争いを避けるためにも、雇用企業として外国人社員にもしっかりと説明ができるような対応を取る必要があります。
3.就労資格証明書の取得
就労資格証明書とは、既に就労可能な在留資格を所持している外国人を雇用した場合に、次回の在留期間更新の許可申請の結果を事前に確認するための申請です。この申請を行い“就労資格証明書”を取得しておけば、次回の在留期間の更新申請時には審査済みとして扱われるため、申請が不許可となることはほとんどなくなります。
就労資格証明書の詳細についてはこちらのページをご覧ください。
就労資格証明書交付申請とは
既に就労可能な在留資格を所持する外国人を雇用した場合に、自社で次回の在留資格更新申請が許可されるかどうかを予め入国管理局で審査してもらう制度です。
1986年の開業以来、外国人のビザ申請を中心に外国人を雇用する企業様のコンサルティングに40年近く携わっております。
電話相談、メール相談、オンライン相談、ご来社での相談が可能です。また、英語対応も可能です。