
在留特別許可はどのような場合になされるのでしょうか。
個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、更には我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可の許否の判断がなされます。
その判断は、積極要素及び消極要素をそれぞれ個別に評価し、考慮すべき程度を勘案した上、積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には、在留特別許可の方向で検討することになり、単に、積極要素が一つ存在するからといって在留特別許可の方向で検討されるというものではなく、また、逆に、消極要素が一つ存在するから一切在留特別許可が認められないということにはなりません。
日本人と婚姻が法的に成立している場合は積極要素とされておりますし、その外国人が,不法滞在者であることを申告するため,自ら出入国管理局に出頭したことも積極要素として考慮されます。ただ、単に、積極要素が一つ存在するからといって在留特別許可の方向で検討されるというものではないとされておりますので、日本人と結婚をし、出頭申告をしたというだけでは安心できるものではありません。家族状況や人道的な配慮の必要性はその方の出身国や個々の状況により異なりますので、より積極要素が認められるように主張する必要があるでしょう。
一方、出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていることは消極要素とされますが、「消極要素が一つ存在するから一切在留特別許可が認められないということにはならない」とされていることから、必ずしもそれだけの理由で在留特別許可が認められないわけではありません。諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可の許否の判断がなされるとのことですので、上申書などでしっかりと主張していくことが肝要だと考えます。