1.労務管理の必要性
第一に、研修生・技能実習生を実質的な低賃金労働者として扱うケースが頻繁に見られるようになりました。受け入れ企業の中には研修生や技能実習生を多く受け入れることにより、日本人社員の採用を少なくして人件費を削減しようとする例もみられ、これは研修の目的を完全に見失っているだけでなく、健全な日本の労働市場の発展にも悪影響を与えています。さらには長期間の単純労働に従事させるために、事前に計画した研修計画を無視して研修生や技能実習生が習得を希望していた研修を全く行なわないケースも見られます。この他にも早朝から深夜にまで及ぶ長時間労働など、劣悪な環境での労働に従事させるなどの事例があげられます。
次に問題となるのが、研修制度をよく理解していない受入れ団体の存在です。本来であれば研修生受入れの母体となる監理団体が研修制度を理解した上で、実際に研修生や技能実習生を受け入れる実習実施機関などに指導・監督を行うことになっています。ところが、一部の団体では営利目的などで研修生の派遣にのみ力を入れる余り、実習実施機関で賃金の未払いやセクシャルハラスメントなどの問題が起きていたとしても全く気がつかないことも多々あります。さらに悪質な場合には、実習実施機関での不当な扱いを相談にきた研修生を本国に送り返してしまったり、実習実施機関と結託して研修生を騙して著しく劣った条件での労働に従事させる例もみられます。
最後に、不当な利益を得て研修生をあっせんする悪質な送出し機関やブローカーの存在が挙げられます。海外で外国人研修生を募集する際に、本来の研修の趣旨とは違う“日本での出稼ぎ”などと説明して募集を行ったり、日本までの渡航費や仕事紹介料などの名目で研修の参加者やその家族から金銭を徴収する例が見られます。研修生の中には高額な紹介料を支払うことができず、日本に入国してからも借金返済のために不法就労に手を出さざるを得なくなり、犯罪等に発展することもあります。
このような問題点を改善し、研修生や技能実習生の法的保護や法的地位の安定化を図るためにも、平成21年7月に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」が公布されました。これに伴い研修生の人権や権利を守り、受入団体の監督を一層厳しくした研修制度が平成22年7月1日から実施され、外国人研修生や技能実習生に対する厳格な労務管理が求められています。
2.入管法改正の目的
問題点1
「一部の受入企業では、研修生・技能実習生が実質的に低賃金労働者として扱われている」
- 技能などの修得活動に雇用契約を義務付け、労働基準法、最低賃金法などを適用させる
- 実習を行う機関に対して監理団体による一定期間の講習実施を義務付ける
- 行政書士や社会保険労務士による外部講師により、技能実習生の法的保護に必要となる情報の講義を義務付ける
- 技能などの修得活動実施前に、労働者災害補償保険への加入を義務付ける
- 監理団体による技能実習生のための相談体制を構築する
- 実習実施機関での技能実習が継続できなくなった場合には、監理団体が新たな受入れ先を確保するように努力すること
- 実習実施機関での労働条件を技能実習生が理解したことを証する文書を入国審査の際に提出すること
問題点2
「受入れ企業に対する指導・監督が不十分な受入れ団体が存在する。」
- 3か月に1回以上の割合で監理団体の役員が技能実習の監査を実施し、その結果を地方入国管理局へ報告する
- 行おうとする技能実習について一定の知識をもち適正な計画を立てることができる役職員が技能実習の計画をたてること
- 1か月に1回以上の割合で監理団体の役職員が実習実施機関を訪問し、技能実習の実施状況の確認を行い指導をする
問題点3
「不当な利益を得て技能実習生をあっせんする悪質な送出し機関やブローカーが存在する」
- 不正な研修・技能実習活動のあっせんなどを行った外国人を退去強制することができるようにする
- 送出し機関などが保証金などの名目で金銭を徴収しないようにする。また、労働契約の不履行に係る違約金を定める契約などを実施させないようにする
- 技能実習に関係する機関相互の間でも、技能実習に関連して労働契約の不履行に係る違約金を定める契約などを実施させないようにする
- 不適正な取り決めがないか確認するために、技能実習生との契約書などを入港審査の際に提出させる
- 監理団体の管理費用を技能実習生に負担させない。また、管理団体が実習実施機関から費用を徴収する場合には金額と利用目的を明示させる
- 不正行為の対象となる事由を省令で明確化する
- 人権侵害などの重大な不正行為を行った場合は受入れ停止期間を5年間に延長する
- 受入れ側の機関の役員などが過去5年間に他の機関で役員などとして技能実習の監理等に従事したことがある場合で、その在任中に当該他の機関が不正行為を行い技能実習生の受入れ停止となっている場合には、その期間が経過していること
- 送出し側の機関またはその役員などが、過去5年間に外国人に不正に在留資格認定証明書の交付などを受けさせる目的で、偽変造文書等の行使又は提供を行っていないこと
3.技能実習生の受入と不正行為
「不正行為」の具体的内容は上陸基準省令の「技能実習1号イ」の項の第17号及び「技能実習1号ロ」の項の第14号に規定されている行為のうち,技能実習の適正な実施を妨げるものとされており,このような「不正行為」を行ったと認定された機関は,研修生や技能実習生の受入れが一定期間(行為の重大性に応じて5年,3年又は1年の期間)停止されます。なお,「技能実習の適正な実施を妨げるもの」とは,不正を行った機関や個人について,不正の態様や程度を個別に調査した結果,技能実習を継続して実施させることが技能実習制度の適正な運営上好ましくないと認められるものをいいます。
「不正行為」と「不正行為に準ずる行為」の具体的内容としては以下の通りです。
1.暴行・脅迫・監禁
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,技能実習生に対して暴行,脅迫又は監禁を行っていた場合です。(5年間受入れ停止)2.旅券・外国人登録証明書の取上げ
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,技能実習生の旅券又は外国人登録証明書を取り上げていた場合です。(5年間受入れ停止)例えば,実習実施機関において逃走防止のためなどと称して旅券や外国人登録証明書を保管していた場合です。3.賃金等の不払い
監理団体又は実習実施機関において,技能実習生に対する手当又は報酬の一部又は全部を支払わなかった場合です。( 5 年間受入れ停止)例えば,実習実施機関において,時間外労働や休日出勤を命じながら,労働基準法第37条に規定する割増賃金を支払わなかった場合です。4.人権を著しく侵害する行為
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,技能実習生の人権を著しく侵害する行為((1)から(3)の行為を除く。)を行っていた場合です。(5年間受入れ停止)例えば,技能実習生から人権侵害の被害を受けた旨の申告があり,人権擁護機関において人権侵犯の事実が認められた場合です。5.偽変造文書等の行使・提供
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,外国人に上陸許可の証印等を受けさせる目的,又は不正行為に関する事実を隠蔽する目的で,偽造・変造された文書・図画,虚偽の文書・図画を行使又は提供していた場合です。(5年間受入れ停止)例えば,地方入国管理局への申請に際し,実習実施機関の常勤職員数を実際より多く偽った内容の書面を作成したり,団体要件省令に規定する「国又は地方公共団体の援助」があることを証する文書を偽造してこれらを地方入国管理局に提出した場合です。
また,監理団体において地方入国管理局に提出する監査報告書に虚偽の記載をした場合,すなわち,実習実施機関で「不正行為」が行われているのを認識していたにもかかわらず,適正に技能実習が実施されているかのような監査報告書を提出した場合や監査を実施していないのにもかかわらず,実施したかのような監査報告書を提出した場合についてもこれに該当します。
6.保証金の徴収等
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関が本邦において技能実習生が従事する技能実習に関連して,技能実習生やその家族から,保証金を徴収するなどしてその財産を管理していた場合や労働契約の不履行に係る違約金を定めるなど不当にその財産の移転を予定する契約を締結していた場合です。(3年間受入れ停止)例えば,技能実習生の逃走を防止するために,技能実習生やその家族等から保証金を徴収したり,逃走した際の違約金を定めていた場合です。また, 地方入国管理局, 労働基準監督署等に対して「不正行為」を通報すること,休日に許可を得ずに外出すること,作業時間中にトイレ等で離席すること等を禁じて,その違約金を定める行為や技能実習生やその家族等から商品又はサービスの対価として不当に高額な料金の徴収を予定する契約についても,「不当に財産の移転を予定する契約」に該当します。
7.雇用契約に基づかない講習の期間中の業務への従事
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,技能実習生を雇用契約に基づかない講習の期間中に業務に従事させていた場合です。(3年間受入れ停止)8.二重契約
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,技能実習の報酬や実施時間について技能実習生との間で地方入国管理局への申請内容と異なる内容の取決めをしていた場合(注)です。(3年間受入れ停止)(注)異なる内容の取決めをした上で,地方入国管理局に虚偽の申請をした場合は上記(5)に該当します。
例えば,技能実習生の雇用契約について,地方入国管理局への申請の際提出した雇用契約書(写し)に記載された報酬より低い報酬を支払う旨の別の合意を申請後に行った場合です。
9.技能実習計画との齟齬
監理団体や実習実施機関において,地方入国管理局への申請の際提出した技能実習計画と著しく異なる内容の技能実習を実施し,又は当該計画に基づく技能実習を実施していなかった場合( 注1 ) です。(3年間受入れ停止)(注1)技能実習計画と齟齬する技能実習を行うことを示し合わせた上で,地方入国管理局に虚偽の申請をした場合は(5)に該当します。例えば,技能実習生に対し技能実習計画どおりの講習を行わなかった場合や,申請の際に技能実習を行うとした作業とは別の作業に従事させた場合,技能実習計画上の複数の作業項目のうち,大半の項目を実施しなかった場合などです。また,「技能実習2号イ」又は「技能実習2号ロ」については,技能実習成果の評価において受験し合格した技能実習移行対象職種と異なる職種に従事させていたような場合です。なお,実際に行われた技能等修得活動の時間数が当初の技能実習計画の時間数を大幅に上回っている場合(注2)にも,技能実習計画との齟齬と判断されることもあります。
(注2)「時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)」に定める時間外労働の限度が一つの目安となります。10.名義貸し
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,地方入国管理局への申請内容と異なる他の機関に技能実習を実施させていた場合や当該他の機関において技能実習を実施していた場合(注)です。(3年間受入れ停止)(注)他の機関で技能実習を行うことを示し合わせた上で,地方入国管理局に虚偽の申請をした場合は(5)に該当します。
名義を借りた機関(実際に技能実習生を受け入れた機関)及び名義を貸した機関(申請上,技能実習生を受け入れるとされた機関)の双方がこの不正行為の対象になります。
11.実習継続不可能時の報告不履行
監理団体や実習実施機関において,技能実習の継続が不可能となる事由が生じていながら,地方入国管理局への報告を怠っていた場合です。(3年間受入れ停止)例えば,技能実習生が失踪したのにもかかわらず,これを届け出ることなく,失踪した研修生が摘発されるなどして初めて,失踪していたことが地方入国管理局で明らかになった場合です。12.監査,相談体制構築等の不履行
監理団体において,団体要件省令に規定する監査,相談体制構築等の措置を講じていなかった場合です。(3年間受入れ停止)13.行方不明者の多発
監理団体や実習実施機関において,上陸基準省令に規定する人数の行方不明者を発生させた場合です。(3年間受入れ停止)なお,監理団体や実習実施機関の責めに帰すべき理由がない場合は,この類型に該当しません。責めに帰すべき理由がない場合とは,技能実習が技能実習計画に沿って実施され,賃金の支払い等が雇用契約どおりに行われていることなど監理団体や実習実施機関がその責務を果たしている場合です。14.不法就労者の雇用等
監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,①事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせる行為,②外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置く行為又は③業として,①及び②の行為に関しあっせんする行為のいずれかを行い,唆し,又はこれを助けた場合です。(3年間受入れ停止)15.労働関係法令違反
監理団体や実習実施機関において,(1),(3)及び(4)に該当しなくても,技能実習の実施に関して,労働基準法,労働安全衛生法,職業安定法等の労働関係法令について重大な違反があり,技能実習の適正な実施を妨げた場合です。(3年間受入れ停止)なお, 労働基準法第24条違反( 賃金不払), 同法第37条違反(割増賃金不払),最低賃金法第4条違反(最低賃金)については,(3)に該当します。
16.再度の不正行為に準ずる行為
地方入国管理局から「不正行為に準ずる行為」を行ったものとして指導を受けた監理団体,実習実施機関等において当該指導を受けた後3年以内に再度「不正行為に準ずる行為」を行った場合です。(3年間受入れ停止)例えば,監理団体が傘下の実習実施機関の賃金不払いに係る「不正行為」認定の監理責任を問われ「不正行為に準ずる行為」に認定された後,別の傘下の実習実施機関が技能実習計画との齟齬に係る「不正行為」に認定され, 再度, 監理責任を問われ「不正行為に準ずる行為」に該当する場合です。
17.日誌等の作成等不履行
監理団体や実習実施機関において技能実習の実施状況に係る文書や技能実習の指導に係る文書の作成,備付け又は保存を怠っていた場合です。地方入国管理局の実態調査等の際に当該文書を確認できない場合は,適正に備付け又は保存がなされていることにはならず,この類型に該当します。(1年間受入れ停止)なお,技能実習の実施状況に係る文書とは,講習日誌,技能実習日誌,賃金台帳その他の実習内容,指導者,従事時間及び賃金について記載した文書をいい,技能実習の指導に係る文書とは,団体要件省令第1条第8号に定める,監理団体による1月につき少なくとも1回以上の訪問指導の際に作成する文書をいいます。文書の作成,備付け及び保存は(他の法令により規制されている場合を除き,)電磁的方法によるものでも差し支えありません。
18.帰国時の報告不履行
監理団体において,技能実習生の技能実習活動終了後の帰国に係る地方入国管理局への報告を怠っていた場合です。( 1年間受入れ停止)なお,監理団体が,技能実習活動後に技能実習生が帰国していないことを知りながら,技能実習生が帰国した旨の虚偽の報告を行った場合は(5)に該当します。4.雇用契約の締結
そのため、技能実習生に対して労働条件の明示義務がなど発生し、労働時間管理の必要性はもちろんのこと、時間外労働や休日労働を行わせる場合には労働基準法に定める割増賃金の支払いだけではなく、労使協定(36協定)の締結も必要となります。特に賃金の支払いについては上陸基準省令で「報酬が日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること」と定められているため、不当な低賃金などは認められません。
技能実習生の時間外労働には、「技能などの修得活動の一環として実施される必要があり、技能実習生に対する指導が可能な体制が構築されている。」などの条件付きではありますが、原則として認められこととなります。ただし、これについても当然に時間外・休日労働として所定の割増賃金の支払いなどが必要となります。さらに、賃金から食費や寮費などを控除する場合にも労使協定の締結が必要となり、受入企業などが負担すべき費用などを「管理費」などの名目で技能実習生の賃金から不当に控除することはもちろんできません。
また、監理団体や実習実施機関は、技能等の修得活動を開始する前に労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険に係る保険関係の成立の届出をすることが義務付けられています。暫定任意適用事業に該当する場合を除き労働者災害補償保険への加入が強制適用されるため、原則としてその事業が開始された日から10日以内に労働基準監督署に成立届を提出する必要があります。仮に暫定任意適用事業に該当するために労災保険への加入申請をしていなかった場合でも、技能実習生を受け入れる場合には、実習実施機関などは労働者災害補償保険やこれに類する他の保険に加入するなどの保障措置を講じる必要があります。
さらに、監理団体や実習実施機関は、不慮の事故や疾病などにも的確に対応できる体制を整える必要があるため、健康保険等に加入するのはもちろん、民間の傷害保険等に加入することも必要となるでしょう。
5.ACROSEEDの技能実習生の労務管理サービス
サービス内容
以下の項目から受入企業様とご相談の上、決定させて頂きます。- 労働保険料概算・確定保険料の計算及び申告
- 労災給付請求及び労災特別加入(海外派遣)に係る給付請求 ※重大災害等、特に複雑なものは別途協議
- 雇用保険被保険者資格取得・喪失(離職証明書作成含む)
- その他適用事項での変更関係諸届(事業所名称、所在地、被保険者の氏名変更等)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得・喪失 (被扶養者異動届及び任意継続被保険者資格取得申請含む)
- 健康保険・厚生年金保険標準報酬月額算定基礎及び月額変更届
- 健康保険・厚生年金に係る給付請求(社員様との英語、中国語、韓国語での対応有り)
- その他適用事項での変更関係諸届(事業所名称、所在地、代表者、被保険者の氏名・ 住所変更等 )
- 毎月1回の定期訪問(雇用契約書、出勤簿、賃金台帳、有給管理表をチェックし、技能実習生の健康管理面からの労働時間の問題点や割増手当等の支給の問題点を報告)
- 労使協定整備の相談・作成及び関係官庁への届出
- 関係官庁が行う調査等の立会、是正報告書の作成相談
- 最新の労働関係諸法令改正の情報提供
- 会社ご担当者様よりの人事労務、就業規則等諸規程についての相談 (メールでの英語・中国語・韓国語での対応有り)
6.サービス料金
対象となる技能実習生の人数 |
料金 |
| 1~9人 | 31,500円~ |
| 10人~14人 | |
| 15人~19人 | |
| 20人~24人 | |
| 25人~49人 | 42,000円~ |
| 50人~99人 | 52,500円~ |
| 100人~149人 | 68,250円~ |
| 150人~199人 | 84,000円~ |
| 200人~ | 別途見積 |
グローバル企業からスモールビジネスまで、ご要望に応じて最適なサービス・料金のご提案をさせて頂きます。もちろん、ご提案は無料です。
専門スタッフ一同がお客様の問題解決に向け精一杯の努力をさせていただきます。お気軽にお問合せ下さい。







